タチコマ
東京オトナ大学なるイベントにてはやぶさの話を聴いてきた。演者はプログラムディレクタの川口淳一郎氏。
夢のある話だけど、何の役に立つのかと問われると答えにくいだろうなぁと思っていたら、むしろそこを意識していたのか、特に今回の地震に絡めた話も多く、面白かった。
例えば、宇宙にロケットを打ち上げてしまったら、もうメンテナンスができないというスタンスだから、原発の立ち入れずに制御不能な設計はアリエナイとか。この間原発内に入ったロボットが無人探査機の改良版とか。
川口さんは歌を詠むらしく、公演中も3首ほど披露なさっていた。
帰還中の制御不能の時は、まさに人事を尽くして天命を待つみたいな心境で、神頼みに行ったらしい。なんと非科学的な・・・って自虐的に言ってたけどw
イオンスラスターの中和機の調子を祈願して、中和神社(ちゅうかじんじゃ)なるとこにもお札を買いにいったそうな。
あと、みんなのモチベーションを保つために、メンバーに宿題を出していたんだそうな。宿題もだせなくなったら終わりだと。ここら辺の方法論は、チリの崩落事故の現場と似ているなぁと。
さらに毎朝ポットにお湯を入れて、開店状態をアピールしたとか。こういう小さな事に気づける人がきっと成功するのだろう。
しかし、はやぶさを擬人化して話されると、涙が出そうになる。そもそも結構自動化されているから、割としっくりきてしまうんだけど。
プログラミングは躾なんだって。なんかそう言われるとチョット可愛い。
制御不能=死ぬって言ってたし。
復路でジェットエンジンが壊れて、大気圏突入で燃え尽きる運命が決まって、故障が続出したときに
「もしかして君は地球に帰ってきたくないんじゃないのか?」と川口さんは思ったらしい。
それでも健気に帰ってきて、身を挺して、カプセルを大気圏に産み落として、
自分自身は燃え尽きてしまう。
復路は省エネモードで帰ってきたので、途中のカメラとか作動させていないんだけど、カプセルを落としてから2時間くらい猶予があって、
「君の目に故郷の地球を写してあげたい」
と地球の写真撮影を試みるんだけど、なかなか上手くいかなくて、
ほんとの最後の一枚で地球が撮れてとかもう、涙なしには聴けないよ。その一枚も途中でデータが途切れてるのとかもう。画像はその写真。
会場で泣きそうになってしまった。
話の展開はざっくばらんだったけど、あっという間の一時間だった。
NASAでもさじを投げたプロジェクトだったらしいけど、それを成功させた努力と根性と忍耐は僕なんかが評価するのがおこがましいほど素晴らしいものだと思う。
自分も五月は地獄を見ることが決定していて、すごくモチベーションが下がってたけど、思いのほか良い薬となった気がする。
明日からまた頑張ろう。
以下、独り言
こういう話を身近に共有できる人がいなくなったのはすごく残念。