天空の大窃盗団:プロローグ6
前回(天空の大窃盗団:プロローグ5)
いつものように仕事の出たんだ。
仕事といっても、裏の方のお仕事だ。
で、ある魔物の屋敷に忍び込んだんだ。
魔物をバカにするなよ?
奴らは力をつけてくると城まで建て始めるんだからな。
でまぁ、色々物色していた訳だが、その中にひときわ綺麗な箱が置いてあったんだよ。
俗に言う宝箱ってヤツだ。
しかもその箱がやたらでかいし、重い。鍵も厳重だ。
こりゃ大当たりだと喜んださ。
鍵がかかっていたもんで、とりあえずアジトまで運んだのさ。
みんなに報告すると、大興奮さ。
んで、一時間位かかって鍵を開けてみたらば、
女子。どっからどうみても女子。
思わず、蓋を閉じてしまった。
その宝箱、オートロックになってたらしく、
また一時間かけてあける羽目にあった。
もう一回よく見ると、ひどく衰弱していた。
とりあえず薬草やら、お弁当やらを食べさせたら、今度は熟睡。
死んだように寝てた。
次の日になって事情を聞いた。
なんでも三日ほど前に彼女の住んでいた村が魔物に襲撃されたらしい。
で、彼女は両親にとっさに宝箱の中に隠されたのらしいが、
その宝箱が魔物に持って行かれたんだと。
その後すぐに俺たちにまた盗まれたんだと。
全くとんだ箱入り娘だ。
とりあえずルーラで彼女の村に連れてったら、所々襲撃に傷跡があるものの、すでに復興の準備が着々と行われてた。
んで、一応頭の務めとして彼女の実家にもよってきた。
ご両親とも無事だったみたいで、ちょっと安心したよ。
つか、え?両方勇者?
びびったよ。ゴリマッチョなお父様に、凄い威圧感のあるお母様でした。
おれはもう逃げ出したかったね。こちとら遊び人に盗賊ですよ?
殴られるのかと思っていたら、すっごいお礼を言われた。
なんでも近々、屋敷に襲撃する予定だったらしい。
あの宝箱は滅多なことじゃ開かないらしいから、無事なことはわかっていたが、とにかく不安だったって。
でも、一時間くらいで開いた的なことを話したらやたら驚いていたな。
あいつら後で褒めておこう。
で、なんで彼女が仲間になっているかというと、
その後両親から修行に出なさいと言われていたこと。
俺になら任せられるということだそうだ。
また、謎の人望発動。
で、身元を引き取って今に至る。
その後のメンバーの喜び様は半端なかった。
その子も躾けがいいのか、家事全般はこなしてくれた。
昔映画で見た、シータって女の子みたいだ。
積極的に冒険にも参加している。
何が凄いって、他のメンバーのやる気が凄い。
普段の1.5倍のペースでこなしていく。
このハロワには36時間ていう、人を人とも見なしていないデスマのようなクエストがあるんだが、
24時間なら何とかやっていけるってんで、今じゃそればっかりだ。
しかも24時間彼女と一緒にいられるわけだしな。
そんなこんなで、今はよろしくやっているわけさ。
つーわけで、思い出話はこんなもんだ。
明日からは、その日にあった仕事の話でも聞かせてやるよ。
次回に続く