天空の大窃盗団:プロローグ

俺はきわまく。根っからの遊び人だ。
今はひょんなことから窃盗団の頭をしている。
窃盗団と言っても、人間相手の仕事は少ない。
普段は真面目に魔物を狩るハンターをやっておまんまを頂いている。
ごく「たまに」どさくさに紛れて、ちょいと失敬してくる程度さ。

自分にも何故こんな状況になったのか、よくわかっていない。
人生は小説より奇なりとはよく言ったもんだ。

ちょっと、これまでのことを振り返ってみようか。

俺は地元ではちょっとした有名人だった。
仕事もせず、喧嘩やギャンブルに明け暮れた日々が続いた。
何があったかは端折るが、ある日こんなではだめだと思い立ち、ハローワーク「天空の大神殿」を訪れたのが全ての始まりだった。

ここでの仕事は至ってシンプルだ。魔物を狩って報酬をもらう。
腕には自信がある。
3食宿付きだし、何よりカジノも併設されている。
そういえばここのカジノはメダルが無くなったら、無料台から補充できるんだぜ。
こんなカジノがあったら、危うくまた以前の俺に逆戻りしそうだ。

おっと話はそれたが、そんなこんなでとりあえず仕事に出てみたんだ。
喧嘩で培った腕もあり、すぐに仕事には慣れた。
しばらくすると、さらに危険な仕事を受けられる様になった。
その分報酬も上乗せだ。
仕事を楽しいと感じたのは初めてだったぜ。
だが、所詮は遊び人。訓練を受けた武闘家や魔法使いなんかとは違う。
徐々に仕事がきつくなってきた。

そんなときに俺はあいつと出会った。

次回に続く。