急性前頭洞炎にかかりました
脳外科医の端くれとして、自己診断があっていた例を示します。
主訴:頭痛
一週間持続する右前頭部を主座とした頭痛。拍動性の痛みはなく、前屈でやや増悪する。圧痛、叩打痛はあるが皮膚には大きな変化なし。ロキソニンが奏功し、痛みがほぼ和らぐ。頭痛開始時2日ほど全身倦怠感があり。鼻汁や頬部の痛みはなし。
てな感じでした。
まず、日内変化がない持続性の頭痛は普通の頭痛と違い、何か頭痛の原因があります。これを二次性頭痛と言います。一方で触ると痛いことから、脳みそで起きている反応ではなさそうです。脳みそは頭蓋骨で守られているため、触っても痛くありません。
そして皮膚にも変化がないため、頭蓋骨近辺で起きている可能性が高いと考えました。
また、痛いという現象は炎症が起きていることが多いです。ロキソニンも基本的には炎症から起こる疼痛に聞く薬なので、炎症が起きている可能性が高いことを支持します。
以上のことから、右の前頭部の皮膚と脳の間で起きている炎症となると、急性前頭洞炎が一番に疑われました。ついで髄膜腫の骨浸潤やリンパ腫が微粒子レベルであるかというところ。
発症から一週間経ってしまいましたが当直先で頭部CTを撮影してもらったら、見事に前頭洞に液体貯留がありました。上顎洞はインタクトなので、純粋な急性前頭洞炎ですね。
どうしてあんな隙間に菌が入ったのか不思議ですが、抗菌薬とロキソニンの定期内服で様子を見ています。
来週当直時にまたCTを撮ってもらおうと思います。
