痩せるという化学反応 〜物質収支 呼吸〜2
前回、呼吸をするたびに体重が減少していくというお話をしました。
それは、呼吸によって取り入れたO2に直接Cを結合させてCO2にしたわけではないのですが、化学工学的な考え方ではO2を取り入れたらCを一個背負って帰ってきたと考えて良いのです。そしてCO2が体内で発生するということは、その分体内でエネルギーが作られて使われているという指標になります。
それでは呼吸に着目してもう一度エネルギーの代謝と二酸化炭素の関係を振り返ってみましょう。
エネルギー代謝の一個一個の反応は複雑ですが、全体を通して見るとクエン酸回路と電子伝達系の二つです。電子伝達系は活性化した水素イオンを利用した反応なので、最終産物は水しかありません。
そこで、もう一方のクエン酸回路をよくみて見ると、ピルビン酸からアセチルCoAに、D-イソクエン酸がα-ケトグルタル酸に、α-ケトグルタル酸がスクシニルCoAに変換される時にCO2が発生しています。

それでは痩せる=脂肪が減る反応を詳しくみていきましょう。
脂肪のエネルギー代謝はβ酸化と呼ばれ、脂肪鎖の炭素2個ずつをアセチルCoAに変換し、クエン酸回路を回すために消費されていきました。ちょうどアセチルCoAの炭素2個分がクエン酸回路を一回分回すことによってCO22個分として呼吸から体外に排出されます。
つまり、β酸化の結果だけを見ると、「脂肪の炭素(C)を酸素(O2)にくっつけてATPとCO2を生成している」ことになるのです。
この一文がまさに痩せる化学反応となり、呼吸こそが痩せる瞬間ということになります。皆さんは脂肪が燃えると聞いても具体的なイメージは湧かなかったかもしれません。たしかに脂肪が最終的に水と二酸化炭素とエネルギーになるので燃焼と同じような反応をしているのです。しかし脂肪は呼吸として体外に排出されていくのです。体内で溶けて便として排出されるわけでも、汗と一緒に排出されるわけでもないのです。
脂肪が呼吸から排出されるということがわかれば、自ずと痩せるためにどのようなダイエットをすれば良いのかがイメージがつきやすくなると思います。
次回はどのようにすれば効果的に痩せられるのかを考えていきたいと思います。