痩せるという化学反応 〜呼吸とダイエット〜
前回、ついに呼吸により体内の脂肪が体外に排出されるという反応に辿り着きました。
これを意識することにより、効率的に脂肪が体外に排出される = 痩せる方法が自ずと導かれます。
それはつまり、汗を必要以上にかく必要はなく、心臓を必要以上に痛みつけることはないということです。それはカロリーを消費するという副反応であり、痩せるという直接の反応には関与していません。
痩せるためには普段より多く呼吸をするか、または体内でATPを使う反応をより増やすことです。もちろん必要以上にカロリーを摂取しないことが最も手っ取り早いのですが、それができたら誰も苦労しません。
ダイエットの基本はやはり運動です。入口の部分、食事に関してはなかなか制限は難しいと思いますし、それができる人はそもそも太らないのです。
痩せるための運動には、長く呼吸数が増える運動が効果的です。いわゆる有酸素運動です。
何一つ真新しさはありませんが、痩せるためのメカニズムを理解した今では理解度が向上しているでしょう。
激しい運動を短時間にしただけでは、全体の呼吸数も増えず、キツさのみが記憶に残り長続きしません。楽しい運動を長時間続けてこそ、呼吸数が増える=痩せる反応の促進となるわけです。
もう一つ運動を押す理由が体内のATPを消耗させることにつながるからです。
ジムでよく目にする運動による消費カロリーですが、運動時に実際に消費するカロリーは本当にそれだけでしょうか。
実際には体内で使用された筋肉のメンテナンスにも莫大なエネルギーが消費されると考えます。
体内でタンパク質を合成する時、アミノ酸を一分子ずつつなげて構成されます。アミノ酸混合溶液から適当に作るわけではないのです。
アミノ酸1分子は数nm(百万分の1 mm)の大きさです。これらをそれぞれのアミノ酸に対応したアミノアシルt-RNAという酵素が一つずつつなげて、数〜数10cmの筋肉やその他のタンパク質を作っています。アミノ酸を一つずつ選んでつなげていくときにATPが使われていきます。
タンパク質の多くは酵素などの触媒反応に用いられるため、そのほどんどはあまり量は必要ありません。一方で筋肉などの身体を構成するタンパク質には多くのアミノ酸が必要となり、それを合成するためにATPが必要となります。
身体を構成するタンパク質の中で、自分の意志で可逆的に破壊できるのは筋肉です。それは生物が進化の過程で手に入れた治癒や環境に適応する能力なのです。
この筋肉を壊し、治癒していくという現象によって生物は自らの筋肉を肥大させ、生存に必要な能力を身につけました。その過程は本人が起きていても、寝ていても細胞一個一個が自動的に行うプロセスです。
このメカニズムがいわゆる基礎代謝を高くする現象なのだと考えています。
私は運動時そのものの消費カロリーよりも、むしろこの筋肉を治すプロセスで消費するカロリーの方が重要だと考えます。
そこで今回はこのプロセスを筋肉を肥大させるためではなく、痩せるために利用します。
運動はそれ自体が呼吸数が増加させますし、筋肉が生理的に破壊されることによって、その修復に莫大なエネルギーを勝手に消費してくれます。
これが痩せるために運動をおすすめする理由なのです。
しかしながら、闇雲に運動を続けても望む結果が得られないばかりか、辛さからドロップアウトしてしまったり、関節を痛めてしまい、より生活に悪い影響が出るかもしれません。次からは具体的にどのような運動が適しているか、またその他のダイエット法(サウナなど)について、呼吸の増加と筋肉の破壊という観点から見ていきましょう。