労働基準法と医師法
昨今の社会情勢により、労働基準法を厳格に守る流れができつつあります。
いわゆるブラック企業が晒しあげられ、サービス残業や無理な労働条件が改善されてきました。
一方で医師にも働き方改革の一環で、労働条件を見直そうという取り組みが始まっておりますが、
先般厚労省から年間許容残業時間2000時間という、驚愕の発表がなされて世間を賑わしました。
しかしながら医師を労働者とみなし、杓子定規に労働基準法に当てはめるのは無理があります。
それは医師法の中の応召義務というのがあって、
「医師は、診療治療の求があった場合、正当な理由がなければ、これを拒んではならない」
とあります。
正当な理由とは、物理的に診療不可能な場合のみなので、基本的に拒んではならないことになります。
つまり、さぁ帰ろうとした時に患者さんが来た場合も診療しなければならないのです。
また、外科の場合は手術による拘束があります。定時になったから帰ろうとはいきません。
帰ろうとしていた時に手術に5時間かかる急患が来ても、対応しなければなりません。
サラリーマンにも納期がありますが、法律で規定されている義務ではありません。
なので、医師の場合働き方を改善しようにも、法律で真逆の縛りを受けていることになります。
医師になる人たちはそれも込みで医師になっているので、そこまで不満はないように思いますが、
働き方を減らすばかりの不毛な議論はやめて、
せめて働いた分しっかり評価してもらえるようなシステムをまず作っていただきたいものです。