痩せるという化学反応 雑談2 コラーゲンとお肌の話

せっかく体内の代謝について勉強してきたので、個人的にかなり眉唾なコラーゲンとお肌の話をしたいと思います。誰が最初に言い出したんでしょうね。

まずコラーゲンとはタンパク質の一種です。タンパク質は20種類のアミノ酸が連なってできた構造をしており、体内のタンパク質はこの構成されるアミノ酸の種類によって異なる機能を発揮できるようになっています。したがって、筋肉もコラーゲンも酵素も分解していけば20種類のアミノ酸になります。

タンパク質を食べると、消化の段階でアミノ酸1個から3個分まで連なったもの(ペプチド)に分解されます。この時点ですでにコラーゲンはコラーゲンではなくなります。そして体内の各所細胞内で必要に応じて色々なタンパク質に組み替えられます。ですから、コラーゲンを食べたからといって、それが体内でそのままコラーゲンになるとは考えづらいです。

もう一つはシワのメカニズムです。皮膚の細胞はケラチノサイトと呼ばれ、外的刺激から身体を守るための様々な機能を発揮しています。皮膚に弾力があるのも衝撃を吸収したり外傷になりやすくするためのものだと考えられます。

皮膚に弾力をもたらすものがコラーゲンであり、ケラチノサイトは自身の細胞の周辺にコラーゲンでできた網をつくります。それがいわゆる細胞外マトリックス、Extracellular matrix(ECM)とよばれるものです。このECMの維持にコラーゲンは必須であり、ECMが維持できないことでシワができていきますから、美肌やエイジングのためにコラーゲンを食べる習慣が誕生したものと思います。しかし、シワはコラーゲン不足でできるものなのでしょうか?

細胞はターンオーバーにより再生と死を繰り返しますが、ターンオーバーすることに確実に細胞は劣化していきます。細胞が劣化していくとECMを作る機能も低下していきます。その結果肌のコラーゲンが減少し、シワができていきます。つまりシワの原因はコラーゲンの不足ではなく、細胞自体の疲弊、老化によるものです。材料は足りているが作り手が疲れているのです。作り手が疲れているわけですから、いくらコラーゲンを補充してもECMが作られることはありません。つまり、コラーゲンを食べてもシワには効かないというのが分子生物学的な意見です。

同じ現象として脱毛があります。毛もタンパク質の一種ですから、これも頭皮の細胞の老化により毛を作る機能が低下した結果に起こる現象です。もしコラーゲンを食べてお肌になると考える方は、髪の毛を食べたら髪の毛ができてハゲが治るとイメージできますでしょうか?
個人的には上記二つは全く同じ理屈ですが、ハゲは治らず、肌は良くなる気がするのは企業の宣伝努力の賜物なのでしょう。

ちなみにコラーゲンやヒアルロン酸は保湿効果もあります。なのでお肌に塗るとなんとなくしっとりした効果はでますが、当然皮膚そのものにはなんら影響はありません。

ただし、昨今の女性は特に一日のタンパク摂取量が足りていないイメージがありますので、100歩譲って高品質なコラーゲンを摂取することは推奨します。

以上から身もフタもない話になってしまいますが、特に美容関係は変な理屈をこねて高額の商品を取り扱うことが多いので、多くの知識を身につけて効果と値段に納得できるものを購入していただきたいと考えて記事にしました。

最終的に信じるも信じないもあなた次第です。