めまいの正体
頭痛に続いてめまいについてです。
脳神経外科の外来で頭痛の次に多いのが回転性めまいです。
比較的多いめまいは突発的になるので、ご本人はかなりびっくりされて救急車で来院されることも少なくありません。
個人的に感想として、本当に怖いめまいになる方は1~5%程度で多くの方は良性のめまいです。
いわゆる、良性発作生頭位めまい症と呼ばれるものです。
このめまいの特徴としては、動作(頭位)によってめまいが誘発しする一方で、
じっとしているとすぐにめまいがおさまる点です。
まれに脳梗塞によってめまいが引き起こされますが、こちらは脳神経が障害されているので、めまいが持続します。
このめまいが治るか、持続するかが怖いめまいを見分けるポイントとなります。
良性発作性頭位めまい症の機序ですが、耳の中の三半器官の機能不全で引き起こされます。
通常三半規管には、耳石が先端に付着した毛が生えており、周りを水で満たされています。
頭を回転させると、その勢いで酸版器官内の水が流れ、その流れに沿って毛が傾きます。
この傾きを検知することで自分がどちらに動いているかを認識します。
同時に眼に見える景色も合わせて、自分の動きを認識します。
ちなみに眼に見える景色と、三半器官の認識がズレるのが車酔いです。
良性発作生頭位めまい症では、この耳石が毛から落ちた状態であると推察されています。
この落ちた耳石が頭位の変換によって、他の毛に触り、予期しない三半器官の認識のずれを生じさせ、
浮遊性のめまいとして感じます。
ただし、石が落ち着けば三半器官の中も落ち着くのですぐにめまいは治ります。
まれに嘔気や嘔吐もされる方がいらっしゃいますが、これは車酔いと同じ原理です。
落ちた耳石は一週間程度で自然排斥されると言われていますが、石が居続けるうちは目眩は繰り返しますし、
後日また別の石が落ちる可能性もあります。
いわゆる耳からくるめまいと言われるものですが、
雑に説明して返すと、夜に再発したと救急車を呼ぶ方がまれにいるので、私は丁寧に説明することにしています。
心配であれば耳鼻科か脳神経外科を受診していただければと思います。

