114回 医師国家試験 D ブロック

1 繰り返す片側性の一過性視力障害を主訴に来院した患者に対し、診断に有用な診察または検査はどれか。
a 眼圧測定
b 視野検査
c 対光反射
d 頸部の聴診
e 眼球運動検査

2 高齢者において霰粒腫との鑑別を要するのはどれか。
a 脂腺癌
b 乳頭腫
c 麦粒腫
d 基底細胞癌
e ぶどう膜腫瘍

3 乳幼児揺さぶられ症候群〈Shaken Baby Syndrome〉を疑った場合、確認すべき眼所見はどれか。
a 眼瞼炎
b 白内障
c 緑内障
d 角膜白斑
e 網膜出血

4 字を書き始めると手が震えて書きにくくなると訴える患者の書字時の写真を別に示す。患者の書いた文字は揺れて読みにくいが、書字以外の動作には支障がないという。
この患者と同じ病態が原因となるのはどれか。

a 片頭痛
b 眼瞼けいれん
c 単純部分発作
d 周期性四肢麻痺
e Tourette症候群

5 68歳の女性がS状結腸切除術を受けた。
合併症として膿瘍形成が最も起こりやすいのはどれか。
a 右横隔膜下
b 左横隔膜下
c 右傍結腸溝
d 左傍結腸溝
e 直腸子宮窩

6 感染症と抗菌薬の組合せで誤っているのはどれか。
a オウム病 ——— ミノサイクリン
b 放線菌症 ——— アンピシリン
c ノカルジア症 ——— ST合剤
d 緑膿菌感染症 ——— セファゾリン
e レジオネラ症 ——— レボフロキサシン

7 アルコール依存症の治療について適切なのはどれか。
a 入院治療が第一選択である。
b 断酒会は匿名参加が原則である。
c 離脱症状にベンゾジアゼピン系薬を投与する。
d 脳症の予防としてビタミンDは有効である。
e 患者に知らせずに抗酒薬を食事に混ぜて投与する。

8 流産と関連がないのはどれか。
a 年齢
b 甲状腺機能低下症
c 子宮頸管ポリープ
d 抗リン脂質抗体症候群
e 転座型染色体異常の保因者

9 ヘルパンギーナにおいて小水疱が好発する部位はどれか。
a 咽頭
b 手掌
c 足底
d 体幹
e 外陰部

10 チアノーゼを生じないのはどれか。
a Fallot四徴症
b 大動脈二尖弁
c 完全大血管転位症
d 総肺静脈還流異常症
e Eisenmenger症候群

11 溶連菌感染症との鑑別で伝染性単核球症を最も強く示唆するのはどれか。
a 頭痛
b 発熱
c 咽頭発赤
d 乾性咳嗽
e 後頸部リンパ節腫脹

12 脳神経外科手術で用いる器具の写真(A、B)を別に示す。
これらの器具を用いるのはどれか。2つ選べ。
a 脳動脈瘤に対するコイル塞栓術
b 慢性硬膜下血腫に対する穿頭ドレナージ術
c 下垂体腺腫に対する経蝶形骨洞的腫瘍摘出術
d 頸部内頸動脈狭窄に対する頸動脈内膜剥離術
e 正常圧水頭症に対する脳室腹腔短絡術〈VPシャント〉

13 泌尿生殖器の解剖で正しいのはどれか。2つ選べ。
a 尿膜管は膀脱三角部に開口する。
b 射精管は前立腺部尿道に開口する。
c 右副腎静脈は右腎静脈に流入する。
d 精巣動脈は内腸骨動脈から分枝する。
e 尿管には3か所の生理的狭窄部位がある。

14 急性膵炎の重症度判定基準の予後因子に含まれるのはどれか。2つ選べ。
a CRP
b PaCO2
c 尿素窒素
d リパーゼ
e トリプシン

15 64歳の女性。複視と不眠を主訴に来院した。2か月前から夕方になると瞼が重くなり、物が二重に見えるようになった。1か月前から、疲れているときに水分を慌てて飲むと鼻に逆流することを自覚した。症状は夕方になると悪化する傾向があり、不眠が続いていたという。既往歴に特記すべきことはない。抗アセチルコリン受容体抗体が陽性であった。胸部エックス線写真(A)及び胸部造影CT(B)を別に示す。
まず行うべき治療として適切なのはどれか。

a 胸腺腫を含む拡大胸腺摘出術
b シクロスポリン投与
c ベンゾジアゼピン系睡眠薬投与
d 放射線療法
e 薬物による抗癌治療

16 58歳の女性。腹部膨満感を主訴に来院した。3か月前から下腹部膨隆を自覚し、衣服がきつくなった。30歳時にチョコレート嚢胞と診断された。50歳で閉経。内診で、左付属器領域に10cmの可動性のない腫瘤を触知する。血液所見:赤血球360万、Hb 10.1g/dL、Ht 32%、白血球6,800、血小板26万。血液生化学所見:CEA 3.8ng/mL(基準5以下)、CA19-9 38U/mL(基準37以下)、CA125 280U/mL(基準35以下)。子宮頸部と内膜の細胞診は陰性。上部および下部消化管内視鏡検査で異常を認めなかった。手術のため入院し開腹したところ、左付属器に腫瘤を認めた。腹水はなく、腹腔洗浄細胞診は陰性であった。腫瘤と腸管との癒着はなかった。腹膜播種はなく、大網やリンパ節に異常を認めなかった。左卵巣を切除して迅速病理診断で明細胞癌と診断された。
左付属器、子宮および大網に加えて切除すべきなのはどれか。
a 腟壁
b 膀胱
c S状結腸
d 右付属器
e 腸間膜リンパ節

17 42歳の初産婦(1妊0産)。陣痛発来のため入院した。既往歴は35歳で腹腔鏡下子宮筋腫核出術、38歳で子宮鏡下子宮内膜ポリープ摘出術を受けた。入院後8時間で3,450gの男児を経腟分娩し、児娩出の5分後に胎盤はスムーズに娩出された。分娩時出血量は100mLであり、会陰裂傷に対して縫合術を行った。産後20分の時点で軽度の意識混濁が出現した。この時点で脈拍120/分、整。血圧72/40mmHg。呼吸数24/分であり、腹部の疼痛を訴えている。外出血(性器出血)は少量で、腟鏡診でも子宮口からのわずかな血液流出を認めるのみである。
最も考えられるのはどれか。
a 頸管裂傷
b 弛緩出血
c 子宮破裂
d 癒着胎盤
e 子宮内反症

18 51歳の女性。顔面の発汗を主訴に来院した。半年前から疲れやすさを自覚し、発作性の発汗、後頸部の熱感および肩こりが増強してきたという。身長162cm、体重56kg。体温36.0℃。脈拍72/分、整。血圧124/76mmHg。1年前から月経はない。身体診察で明らかな異常を認めない。血液所見:赤血球387万、Hb 12.8g/dL、Ht 39%、白血球6,300、血小板21万。血液生化学所見:AST 24U/L、ALT 20U/L、TSH 1.2μU/mL(基準0.2〜4.0)、FT4 1.1ng/dL(基準0.8〜2.2)、FSH 38mIU/mL(閉経後の基準30以上)。心電図で異常を認めない。
この病態の原因となっているのはどれか。
a 肝臓
b 卵巣
c 下垂体
d 冠動脈
e 甲状腺

19 65歳の男性。言動に不安を感じた妻に伴われて来院した。高血圧症で内服加療中である。朝の散歩を日課としているが、半年前から必ず時刻通りに出かけることにこだわるようになった。また、帰省した息子や孫を突然怒鳴りつけるなど、怒りっぽくなった。食事は同じ内容にこだわるようになり、異なるメニューを供すると怒り出して食事の最中に席を離れてしまうことがあった。趣味のサークルの友人から妻に電話があり、最近、サークルの運営で自分の主張を押し通そうとして困っていると相談された。物忘れはなく、会話の不自由さはない。日常生活動作に支障はみられない。妻は言動変化の原因になるような心当たりはないという。診察室でも本人は受診が不満のようで、妻をなじっている。
この患者で予想される所見はどれか。
a 幻視
b 復唱障害
c 遂行機能障害
d 視空間認知能障害
e エピソード記憶障害

20 22歳の男性。動悸、発汗および手指の振戦を主訴に来院した。3か月前から朝食前や夕食前に、動悸と発汗を自覚するようになった。食事を摂ると症状は消失するという。現在内服中の薬剤はない。父方祖母がグルカゴノーマに罹患している。意識は清明。身長171cm、体重62kg。脈拍68/分、整。血圧136/80mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球464万、白血球3,900、血小板24万。血液生化学所見(朝食後2時間):尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖120mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 106mEq/L。24時間持続ブドウ糖モニターの結果を別に示す。
診断に必要な検査はどれか。

a 絶食試験
b 水制限試験
c TRH負荷試験
d LHRH負荷試験
e グルカゴン負荷試験

21 68歳の男性。全身倦怠感と体重減少を主訴に来院した。6か月前から5kgの体重減少と2か月前からの全身倦怠感が著明になったため受診した。身長164cm、体重44kg。脈拍72/分、整。血圧104/70mmHg。意識は清明。眼瞼結膜は貧血様である。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両下肢に浮腫を認める。尿所見:蛋白3+、糖(−)、潜血1+、沈渣は赤血球5〜9/HPF。随時尿の尿蛋白/Cr比は4.6g/gCr(基準0.15未満)。血液所見:赤血球300万、Hb 10.7g/dL、Ht 31%、白血球7,800、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白5.5g/dL、アルブミン3.1g/dL、IgG 764mg/dL(基準960〜1,960)、IgA 100mg/dL(基準110〜410)、IgM 42mg/dL(基準65〜350)、尿素窒素23mg/dL、クレアチニン1.6mg/dL、HbA1c 5.6%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール200mg/dL、免疫血清学所見:MPO-ANCA陰性、PR3-ANCA陰性、抗核抗体陰性。尿免疫電気泳動でM蛋白を認める。血清遊離軽鎖κ/λ比0.01(基準0.26〜1.65)。心電図は低電位である。腹部超音波検査で腎の腫大が認められる。心エコー検査で軽度の左室壁肥厚を認める。
腎病変の原因として、考えられるのはどれか。
a 糖尿病腎症
b ループス腎炎
c アミロイド腎症
d 慢性間質性腎炎
e ANCA関連腎炎

22 30歳の男性。貧血の精査のため来院した。昨年の健康診断では異常を指摘されなかったが、2週前から労作時息切れが出現したため自宅近くの診療所を受診したところ、貧血を指摘され精査のため紹介されて受診した。脈拍88/分、整。血圧122/78mmHg。眼瞼結膜は貧血様で眼球結膜に黄染を認めない。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球302万、Hb 8.3g/dL、Ht 28%、白血球2,400(桿状核好中球3%、分葉核好中球28%、好酸球2%、単球5%、リンパ球62%)、血小板5万。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン4.2g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 27U/L、ALT 19U/L、LD 948U/L(基準120〜245)、ALP 476U/L(基準115〜359)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸8.5mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102mEq/L、Ca 10.0mg/dL、P 6.0mg/dL。CRP 0.8mg/dL。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。異常細胞のペルオキシダーゼ染色は陰性で、表面マーカー解析ではCD10とCD19が陽性で、CD20とCD33は陰性であった。染色体検査でPhiladelphia染色体が検出された。
この患者に投与すべき薬剤はどれか。

a イマチニブ
b ゲフィチニブ
c リツキシマブ
d ブレオマイシン
e 全トランス型レチノイン酸

23 2歳の男児。腹痛のため母親に連れられて来院した。今朝から間欠的に腹痛を訴えている。排便はあったが、血便ではなかったという。診察時はおとなしくしている。身長86cm、体重11.5kg。意識は清明。体温36.8℃。脈拍100/分、整。血圧96/60mmHg。呼吸数24/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨満しているが軟らかい。臍上部の圧痛を認める。腸雑音はやや亢進している。腹部超音波像を別に示す。
考えられる疾患はどれか。

a 便秘症
b 腸重積症
c 急性虫垂炎
d 十二指腸潰瘍
e 腸回転異常症

24 3歳の女児。発熱と全身の皮疹を主訴に祖母に連れられて来院した。2日前から38℃台の発熱と顔面の紅斑が出現し、紅斑は昨日から全身に拡大したという。薬剤内服歴はない。体温38.1℃。脈拍132/分、整。血圧96/58mmHg。呼吸数30/分。SpO2 98%(room air)。口囲と鼻周囲の紅斑とともに鱗屑、黄色痂皮を認める。びまん性紅斑は頸部、腋窩、腹部および鼠径部に高度である。患児は接触痛を訴え、元気がなく不機嫌である。頸部の紅斑には小水疱と小膿疱を伴う。眼粘膜と口腔粘膜とに異常を認めない。血液所見:赤血球434万、Hb 12.1g/dL、Ht 35%、白血球12,300、血小板33万。免疫血清学所見:CRP 0.8mg/dL、ASO 230単位(基準250以下)。顔面から胸部にかけての写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。

a 風疹
b 麻疹
c 伝染性紅斑
d Stevens-Johnson症候群
e ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群

25 78歳の男性。腹痛を主訴に来院した。4時間前に腹痛が突然出現し、徐々に増強してきたため受診した。2年前から心房細動で内服加療中であった。体温37.1℃。脈拍120/分、不整。血圧86/56mmHg。呼吸数24/分。腹部は膨隆し全体に圧痛を認める。血液所見:赤血球510万、Hb 15.8g/dL、Ht 45%、白血球9,500、血小板13万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.4g/dL、AST 16U/L、ALT 14U/L、LD 310U/L(基準120〜245)、CK 275U/L(基準30〜140)、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Na 134mEq/L、K 5.2mEq/L、Cl 108mEq/L。腹部造影CTを別に示す。
治療として適切なのはどれか。

a 緊急開腹手術
b 高圧酸素療法
c 内視鏡的整復術
d 上腸間膜動脈塞栓術
e 経肛門的イレウス管留置

26 48歳の女性。食欲低下と倦怠感を主訴に来院した。5日前から感冒様症状と食欲低下があり、市販薬を内服して寝込んでいた。昨日から倦怠感が強くなり、さらに今朝になって呼吸困難やふらつきも生じたため受診した。既往歴、生活歴および家族歴に特記すべきことはない。身長160cm、体重50kg。脈拍116/分、整。血圧86/50mmHg。呼吸数24/分。SpO2 93%(room air)。心音は奔馬調律。両下胸部にcracklesを聴取する。血液所見:赤血球495万、Hb 14.6g/dL、白血球11,000、血小板17万。血液生化学所見:AST 2,324U/L、ALT 2,532U/L、LD 3,292U/L(基準120〜245)、CK 6,064U/L(基準30〜140)、尿素窒素47mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、総ビリルビン1.4mg/dL。CRP 2.3mg/dL。来院時の心電図(A)を別に示す。心エコー検査で左室拡張末期径50mm、左室駆出率は20%。その後、完全房室ブロックが出現し、一時的ペースメーカー留置とともに冠動脈造影を行った。冠動脈造影像(B)を別に示す。
最も疑われる疾患はどれか。

a 急性心筋炎
b 拡張型心筋症
c 急性心筋梗塞
d たこつぼ心筋症
e 急性肺動脈塞栓症

27 71歳の女性。排尿困難を主訴に来院した。1年前から会陰部腫瘤を自覚していたが、自分で腫瘤を元に戻していたという。3か月前から排尿困難が出現したため受診した。身長156cm、体重55kg。体温36.6℃。脈拍72/分、整。血圧132/72mmHg。血液所見:赤血球350万、Hb 11.2g/dL、Ht 34%、白血球4,000、血小板25万。血液生化学所見:尿素窒素23mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、Na 144mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 100mEq/L。CRP 0.7mg/dL。外陰部の写真を別に示す。
診断はどれか。

a 直腸脱
b 膀胱瘤
c 外陰Paget病
d 尿道カルンクル
e 尖圭コンジローマ

28 78歳の女性。左股関節痛を主訴に来院した。10年前に誘因なく左股関節痛が出現したがそのままにしていた。最近になり痛みが増悪したという。股関節部エックス線写真を別に示す。
治療法として適切でないのはどれか。

a 杖使用
b 筋力訓練
c 徒手整復
d NSAID投与
e 人工股関節全置換術

29 6歳の女児。発熱と発疹を主訴に祖父に連れられて来院した。3日前に発熱と咳嗽が出現した。一旦解熱したが、本日から再度発熱し体幹に発疹が出現したため来院した。1週前に家族で麻疹流行地を旅行していたという。
鑑別のために最も重要な所見を呈する部位はどれか。
a 口唇
b 頬粘膜
c 眼球結膜
d 頸部リンパ節
e BCGの接種部位

30 47歳の女性。後頸部のこり感と左手のしびれを主訴に来院した。1か月前から家事をする際に左示指と中指とにしびれを自覚するようになったという。20年前から関節リウマチで投薬を受けている。握力は右16kg、左14kg。両手にボタンホール変形を認める。左示指と中指とに軽度の感覚鈍麻を認める。下肢の筋力は徒手筋力テストで5である。腱反射に異常を認めない。歩行障害を認めない。入院治療については、次男の受験を控えていることから家族内で相談したいとの希望があったため、頸椎カラーを処方した。頸椎エックス線写真(A〜C)を別に示す。
生活指導で正しいのはどれか。

a 「枕は低いものを使用してくだい」
b 「洗顔時は頸椎カラーを外してください」
c 「頸部周囲筋のマッサージをお勧めします」
d 「左上肢はできるだけ使わないでください」
e 「起き上がる時は上半身の反動を利用してください」

31 47歳の男性。右後足部痛を主訴に来院した。テニスの練習中に右足関節を後方から蹴られたような感じとともに断裂音を自覚し、右後足部痛が出現した。歩行は可能であるが、右足のつま先立ちはできない。
この患者にあてはまるのはどれか。
a 手術治療の適応はない。
b 足関節の自動運動ができない。
c 足関節前後方向の不安定性が生じる。
d 下腿三頭筋の把握テストで足関節が底屈する。
e 保存療法として足関節背屈制限装具を用いる。

32 25歳の男性。倦怠感と四肢の紫斑を主訴に来院した。1か月前から倦怠感、2週前から四肢の紫斑が出現し、改善しないため受診した。既往歴に特記すべきことはない。身長172cm、体重58kg。体温37.2℃。脈拍96/分、整。血圧132/82mmHg。胸骨右縁に収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。血液所見:赤血球190万、Hb 6.6g/dL、Ht 19%、網赤血球0.7%、白血球1,600(好中球11%、好酸球3%、好塩基球2%、単球9%、リンパ球75%)、血小板0.7万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン4.7g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 25U/L、ALT 29U/L、LD 154U/L(基準120〜245)、尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸5.8mg/dL。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本に芽球の増加はなく、3血球系に異形成を認めない。染色体分析では46,XY。骨髄組織のH-E染色標本を別に示す。
適応でない薬剤はどれか。

a シクロスポリン
b アドリアマイシン
c 抗胸腺グロブリン
d 副腎皮質ステロイド
e トロンボポエチン受容体作動薬

33 5歳の男児。顔面と手背の紅斑を主訴に父親に連れられて来院した。1か月前の運動会後に顔面に皮疹が出現して以来、改善しないため受診した。頬部から鼻根部を中心にびまん性紅斑を認める。手背では近位指節間関節、遠位指節間関節、中手指節関節を中心に米粒大の鱗屑を伴う扁平隆起性丘疹の集族を認める。四肢近位筋に把握痛を認める。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)。血液所見:赤血球441万、Hb 13.0g/dL、Ht 38%、白血球5,200、血小板30万。血液生化学所見:AST 54U/L、ALT 23U/L、LD 417U/L(基準280〜400)、CK 312U/L(基準30〜140)、アルドラーゼ13.4U/L(基準2.7〜7.5)、Na 138mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 102mEq/L。免疫血清学所見:抗核抗体160倍(基準20以下)、抗dsDNA抗体6IU/mL(基準12以下)。顔面の写真(A)と手背の写真(B)を別に示す。
最も考えられるのはどれか。

a 皮膚筋炎
b 線維筋痛症
c 横紋筋融解症
d 色素性乾皮症
e 全身性エリテマトーデス〈SLE〉

34 20歳の男性。高身長および長い手指を指摘されて受診した。1週前に感冒様症状があり自宅近くの診療所を受診した際に、高身長や長い手指を指摘され、専門の医療機関を受診するよう勧められた。中学時からバレーボール部の選手として活躍している。喫煙歴および飲酒歴はない。父親が34歳で突然死している。15歳の妹も高身長である。意識は清明。身長190cm、体重75kg。脈拍80/分、整。血圧132/72mmHg。手足は長く、クモ状手指を認める。胸骨左縁第3肋間を最強点とするII/VIの拡張期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球424万、Hb 13.5g/dL、白血球6,800、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.3g/dL、AST 21U/L、ALT 21U/L、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL。心エコー検査で大動脈基部径の軽度の拡大と大動脈弁逆流とを認める。左室駆出率は60%。胸腹部造影CTでは、大動脈基部の拡大以外の異常所見を認めない。眼科受診で水晶体亜脱臼を認めた。
この患者への説明として適切なのはどれか。
a 「内分泌異常が原因となる疾患です」
b 「競技スポーツ参加を制限する必要はありません」
c 「今後、大血管病変が進行する可能性もあります」
d 「高身長の妹が同じ疾患に罹患している可能性はありません」
e 「アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬の内服は禁忌です」

35 21歳の男性。手指の震えを主訴に来院した。18歳時から事務仕事をしていたが、昨年から週に3日午前中、派遣先の大型塗料店で在庫管理の仕事をしている。4日前と一昨日離島でダイビングをし、一昨日の夕方、ジェット旅客機に搭乗し帰宅した。帰路、天候が悪く、機体の揺れのため席から離れることができなかった。帰宅日の就寝時、右中指の近位指節間関節が痛いのに気付いた。昨日も指先の感覚に違和感を覚えたという。本日、字を書く時に指先が震えるため受診した。
最も考えられるのはどれか。
a 減圧症
b 動揺病
c 頸肩腕障害
d 有機溶剤中毒
e VDT作業による障害

36 47歳の男性。両手指のチアノーゼを主訴に来院した。3年前から冬に外出すると両手の指先や耳介が白くなり、しびれを感じるようになった。これらは帰宅して温まると消失した。この冬、寒冷地に転勤になり、室外で引っ越し作業中に両手指のしびれの出現とともに指先の色が青黒く変色したため受診した。脈拍80/分、整。血圧132/80mmHg。眼瞼結膜は貧血様であり、眼球結膜に黄染を認める。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血3+。血液所見:赤血球252万、Hb 9.0g/dL、Ht 26%、白血球4,200(桿状核好中球2%、分葉核好中球70%、好酸球2%、単球5%、リンパ球21%)、血小板32万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン3.2mg/dL、直接ビリルビン0.8mg/dL、AST 38U/L、ALT 30U/L、LD 980U/L(基準120〜245)、ALP 230U/L(基準115〜359)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖90mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 104mEq/L。
この患者で予想される検査所見はどれか。
a 網赤血球低値
b 寒冷凝集素高値
c IgG型自己抗体陽性
d 血清ハプトグロビン高値
e GPIアンカー蛋白欠損赤血球陽性

37 8歳の女児。腹痛のため両親とともに来院した。昨日の夕食後から上腹部痛があり、夜半に食物残渣を嘔吐し、今朝も痛みが改善しないため受診した。今朝の排便は軟便で色は茶褐色という。意識は清明。身長120cm、体重23kg。体温37.8℃。脈拍80/分、整。血圧100/72mmHg。呼吸数20/分。眼球結膜に軽度黄染を認める。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨満しているが肝・脾を触知しない。上腹部に軽度の圧痛を認め、腸雑音は減弱している。血液所見:赤血球467万、Hb 13.7g/dL、Ht 42%、白血球18,700、血小板30万、PT-INR 1.0(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、総ビリルビン4.7mg/dL、直接ビリルビン4.0mg/dL、AST 267U/L、ALT 270U/L、アミラーゼ539U/L(基準37〜160)。CRP 0.9mg/dL。腹部超音波検査で胆嚢の腫大を認めた。MRCPを別に示す。
診断はどれか。

a 膵石症
b 胆管癌
c 輪状膵
d 先天性胆道拡張症
e 急性閉塞性化膿性胆管炎

38 66歳の女性。1か月前からの右頬部腫脹を主訴に来院した。28年前に両側慢性副鼻腔炎に対する手術の既往がある。腫脹した右上顎の歯肉部を穿刺すると粘調な液体が吸引された。頭部CT(A)及び頭部MRIT1強調像(B)を別に示す。
診断として最も考えられるのはどれか。

a 上顎洞癌
b 歯性上顎洞炎
c 副鼻腔真菌症
d 慢性副鼻腔炎
e 術後性上顎嚢胞

39 1歳の男児。発熱と皮疹を主訴に母親に連れられて来院した。4日前から38〜39℃の発熱が続き、今朝、母親が皮疹に気付いたという。体温39.3℃。脈拍140/分、整。受診時の患児の背部の写真を別に示す。両側眼球結膜に充血を認める。口唇に発赤を認める。両側頸部に径2cmのリンパ節を数個ずつ触知する。四肢末端に紅斑と浮腫を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球410万、Hb 11.7g/dL、Ht 36%、白血球13,600(桿状核好中球6%、分葉核好中球61%、単球4%、リンパ球29%)、血小板41万、フィブリノゲン860mg/dL(基準186〜355)。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.0g/dL、AST 240U/L、ALT 195U/L。CRP 4.2mg/dL。心エコー検査で異常所見を認めない。入院の上、標準的治療を行うこととした。
治療効果判定に使用する所見はどれか。

a 発熱
b 体幹の皮疹
c 眼球結膜充血
d 頸部リンパ節腫脹
e 四肢末端の紅斑・浮腫

40 74歳の女性。動悸を主訴に来院した。今朝7時ころに突然、激しい動悸を自覚した。ソファーに横になり様子をみていたが、30分経っても症状が治まらず、不安感が強くなったため受診した。既往歴として高血圧症と両側頸動脈に動脈硬化性の狭窄を指摘されている。意識は清明。体温36.6℃。脈拍168/分、整。血圧132/88mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。心電図ではQRS幅の狭い波形による、規則正しい頻拍を認める。
対応として適切でないのはどれか。
a Valsalva手技
b ベラパミル投与
c ジソピラミド投与
d 頸動脈洞マッサージ
e アデノシン三リン酸投与

41 65歳の女性。下腿浮腫を主訴に来院した。1か月前から下腿浮腫と軽度の労作時呼吸困難感があり改善しないため受診した。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧110/80mmHg。呼吸数14/分。SpO2 95%(room air)。心音は微弱で拡張早期過剰心音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。両側に著明な下腿浮腫を認める。胸部CT(A)及び右心カテーテル所見(B、C)を別に示す。
治療で選択すべきなのはどれか。

a β遮断薬
b コルヒチン
c 心膜切除術
d 心嚢ドレナージ
e 経カテーテル心室中隔焼灼術

42 78歳の女性。右膝の痛みと腫れを主訴に来院した。2日前から誘因なく同部に痛みと腫れがあるため受診した。体温37.6℃。脈拍88/分、整。血圧130/70mmHg。呼吸数14/分。右膝に膝蓋跳動があり、自発痛、発赤および熱感を認める。右膝関節単純エックス線写真で異常を認めない。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)、細菌(−)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球456万、Hb 12.6g/dL、Ht 41%、白血球12,300(分葉核好中球76%、好酸球2%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球13%)、血小板16万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 20U/L、ALT 15U/L、LD 220U/L(基準120〜245)、ALP 290U/L(基準115〜359)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸4.7mg/dL、血糖112mg/dL。CRP 8.6mg/dL。
次に行うべき対応はどれか。
a 関節液検査
b 膝関節造影CT
c 下肢ギプス包帯固定
d 広域抗菌薬の点滴静注
e 副腎皮質ステロイドの関節内投与

43 63歳の女性。頭痛と行動異常を主訴に来院した。3か月前から起床時の頭痛を自覚し、徐々に悪心を伴うようになってきたため受診した。2か月前から約束を間違える、着衣がうまくできないなどの異常に家族が気付いていたという。意識レベルはJCS I-2。脈拍68/分、整。血圧142/88mmHg。神経診察で左不全片麻痺を認める。頭部造影MRI(A)を別に示す。入院し、開頭腫瘍摘出術を施行した。病変部のH-E染色標本(B)を別に示す。
診断はどれか。

a 膠芽腫
b 髄膜腫
c 脳膿瘍
d 悪性リンパ腫
e 多発性硬化症

44 20歳の女性。右胸痛を主訴に来院した。昨日夕方、急に右胸痛と呼吸困難を自覚し本日増悪したため受診した。呼吸数22/分。SpO2 95%(room air)。右胸部の呼吸音が対側と比べ減弱している。胸部エックス線写真を別に示す。
次に行うべき検査はどれか。

a 胸部CT
b 喀痰細胞診
c 負荷心電図
d 気管支鏡検査
e 呼吸機能検査

45 50歳の男性。右下腹部痛を主訴に転院してきた。船上勤務中、7日前に右下腹部痛と発熱をきたし寄港先の病院を受診した。急性虫垂炎と診断され入院となった。絶食下で末梢静脈からの輸液と抗菌薬の点滴治療を受け、入院3日目には解熱し下腹部痛は軽減した。自宅近くでの治療を希望し当院を紹介され転院となった。意識は清明。身長173cm、体重70kg。体温36.2℃。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。腸雑音は正常である。血液所見:赤血球486万、Hb 14.8g/dL、Ht 43%、白血球6,400、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白6.4g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 14U/L、ALT 14U/L、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。CRP 0.8mg/dL。転院後、排ガスと排便を認めた。
次に行うべきなのはどれか。
a 経口食開始
b 虫垂切除術
c 右半結腸切除術
d 膿瘍ドレナージ
e 外科的イレウス解除術

46 89歳の女性。腹痛と発熱のため救急車で搬入された。5日前から上腹部の鈍痛と食欲不振を自覚し、今朝から発熱が出現したため、家族が救急車を要請した。意識レベルはJCS I-2。体温38.8℃。心拍数108/分、整。血圧94/60mmHg。呼吸数24/分。SpO2 96%(鼻カニューラ3L/分酸素投与下)。眼球結膜に軽度の黄染を認める。腹部は平坦で、右季肋部に軽度の圧痛を認める。血液所見:赤血球353万、Hb 10.4g/dL、Ht 31%、白血球13,600、血小板20万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン3.5g/dL、総ビリルビン4.1mg/dL、直接ビリルビン3.2mg/dL、AST 889U/L、ALT 459U/L、ALP 1,299U/L(基準115〜359)、γ-GT 188U/L(基準8〜50)、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、血糖122mg/dL。CRP 7.1mg/dL。腹部造影CT(A、B)を別に示す。
最も考えられるのはどれか。

a 急性肝炎
b 胆石胆嚢炎
c 汎発性腹膜炎
d Mirizzi症候群
e 急性閉塞性化膿性胆管炎

47 72歳の女性。幻視を主訴に長女に伴われて受診した。1週前に「家に来ていた孫が急にいなくなった」と長女に電話した。長女によれば孫が来ているはずはないが「朝起きて居間に行くと、孫が黙って座っている姿が見えた。一生懸命勉強をしているようなので声をかけずにそっとしておいた。孫が家の中を歩いているのを見たが、こちらから呼ぶといなくなっていた」と述べた。数年前から長女の家に泊まった際に、夜中に寝言を言ったり笑ったりするのに気付かれていた。本人は「夢を見ていた」と述べることが多かった。半年ほど前から動作の緩慢が目立つようになっていたという。問診時の感情表出は自然であり礼節は保たれ、時間や場所の見当識に問題はなかった。血液検査と脳波検査とに異常を認めない。頭部MRIでは軽度の脳萎縮を認める以外に異常所見は認めない。
考えられるのはどれか。
a 妄想性障害
b 血管性認知症
c 前頭側頭型認知症
d Lewy小体型認知症
e Alzheimer型認知症

48 62歳の女性。蛋白尿と腎機能低下のため来院した。4か月前から肺癌のためシスプラチンを含む薬物療法を受けており、治療開始時の蛋白尿は陰性、血清クレアチニンは0.8mg/dLであった。昨日の外来検査で蛋白尿と腎機能低下が認められたため紹介されて受診した。意識は清明。身長158cm、体重54kg。脈拍68/分、整。血圧134/74mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:尿比重1.014、蛋白1+、糖2+、潜血1+、沈渣は赤血球5〜9/HPF。1日尿量1,200mL、1日尿蛋白1.1g/日。尿中β2-マイクログロブリン54,630μg/L(基準200以下)。血液所見:赤血球308万、Hb 10.8g/dL、Ht 32%、白血球4,000、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白6.4g/dL、アルブミン3.5g/dL、AST 16U/L、ALT 11U/L、ALP 489U/L(基準115〜359)、γ-GT 16U/L(基準8〜50)、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン1.3mg/dL、尿酸1.8mg/dL、血糖84mg/dL、HbA1c 5.2%(基準4.6〜6.2)、Na 142mEq/L、K 3.3mEq/L、Cl 120mEq/L、Ca 7.8mg/dL、P 1.2mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.30、PaCO2 30Torr、PaO2 98Torr、HCO3- 15mEq/L。
考えられるのはどれか。
a 腎性尿崩症
b Liddle症候群
c Bartter症候群
d Fanconi症候群
e Gitelman症候群

49 48歳の女性。胃がん検診の上部消化管造影検査で胃に異常が認められたため来院した。自覚症状はなく、内服薬の服用はない。来院後に施行した上部消化管内視鏡像を別に示す。
適切な対応はどれか。

a 1年後の再検査
b プロトンポンプ阻害薬投与
c Helicobacter pylori除菌
d 内視鏡的ポリープ切除術
e 胃切除術

50 74歳の女性。嚥下困難を主訴に来院した。6か月前から時々胸のつかえ感を自覚していた。3か月前に行った上部消化管内視鏡検査で逆流性食道炎を認め内服薬を処方された。その後も症状は持続し、2週前から食事摂取が困難となったため再度受診した。橋本病、高血圧症、骨粗鬆症および不眠症があり内服加療中である。身長156cm、体重45kg。脈拍76/分、整。血圧140/86mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
服用している薬剤のうち、休薬によって症状の改善が見込まれるのはどれか。
a 甲状腺ホルモン
b プロトンポンプ阻害薬
c 経口ビスホスホネート製剤
d ベンゾジアゼピン系睡眠薬
e アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬

51 70歳の女性。発熱と頸部のしこりを主訴に来院した。8年前に関節リウマチと診断されプレドニゾロン、メトトレキサート及びNSAIDによる治療を継続している。1週前から誘因なく発熱が持続するため受診した。身長155cm、体重43kg。体温38.4℃。脈拍104/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸数20/分。口蓋扁桃の腫大を認めない。両頸部と両腋窩に径2cmの圧痛を伴わないリンパ節を1個ずつ触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。関節に腫脹と圧痛とを認めない。血液所見:赤血球315万、Hb 10.2g/dL、Ht 32%、白血球2,800(梓状核好中球36%、分葉核好中球44%、好酸球2%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球9%)、血小板12万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン3.3g/dL、AST 35U/L、ALT 23U/L、LD 780U/L(基準120〜245)。免疫血清学所見:CRP 2.2mg/dL、抗核抗体陰性、可溶性IL-2受容体952U/mL(基準157〜474)、結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陰性。造影CTで縦隔・腸間膜に多発性のリンパ節腫大を認める。
まず行うべき対応はどれか。
a NSAIDの中止
b JAK阻害薬の追加
c 抗TNF-α抗体の追加
d プレドニゾロンの中止
e メトトレキサートの中止

52 80歳の女性。右上腹部痛、体重減少および皮膚の黄染を主訴に来院した。1年前から食後に軽度の悪心を自覚していた。3か月前から食後に右上腹部痛が出現するため好物の天ぷらを食べたくなくなったという。1か月前から体重が減少し、家族に皮膚の黄染を指摘され受診した。身長145cm、体重38kg。体温36.7℃。脈拍92/分、整。血圧114/70mmHg。呼吸数14/分。眼瞼結膜は軽度貧血様で、眼球結膜に黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、心窩部から右季肋部にかけて圧痛を認め、同部に呼吸に応じて移動する径3cmの腫瘤を触知する。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ウロビリノゲン(−)、潜血(−)、ビリルビン1+。便潜血反応陰性。血液所見:赤血球354万、Hb 10.9g/dL、Ht 34%、白血球6,700、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン3.1g/dL、総ビリルビン4.8mg/dL、AST 76U/L、ALT 65U/L、LD 759U/L(基準120〜245)、γ-GT 145U/L(基準8〜50)、アミラーゼ134U/L(基準37〜160)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖118mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 100mEq/L、CEA 6.7ng/mL(基準5以下)、CA19-9 89U/mL(基準37以下)。CRP 0.4mg/dL。胸部および腹部エックス線写真で異常を認めない。腹部超音波検査で両側肝内胆管の拡張と肝門部での途絶を認めた。
次に行うべき検査として適切なのはどれか。
a 腹部造影CT
b 超音波内視鏡検査
c 下部消化管内視鏡検査
d 上部消化管内視鏡検査
e 内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉

53 64歳の男性。右下肢のしびれと体重減少を主訴に来院した。1か月前から右下肢のしびれと食欲低下が続き、体重が3kg減少したため受診した。半年前の健康診断で初めて高血糖を指摘されたが、腎障害は指摘されていなかった。身長170cm、体重58kg。体温37.0℃。脈拍92/分、整。血圧148/86mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。下腿に浮腫と紫斑とを認めない。尿所見:蛋白3+、糖(−)、潜血2+、沈流は赤血球30〜49/HPF、顆粒円柱1〜4/HPF。血液所見:赤血球311万、Hb 9.5g/dL、Ht 29%、白血球9,500(分葉核好中球63%、好酸球4%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球25%)、血小板24万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.0g/dL、尿素窒素69mg/dL、クレアチニン4.3mg/dL、血糖122mg/dL、HbA1c 6.3%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール266mg/dL、トリグリセリド160mg/dL、Na 140mEq/L、K 6.0mEq/L、Cl 110mEq/L、Ca 8.6mg/dL、P 5.0mg/dL。免疫血清学所見:CRP 3.5mg/dL、CH50 54U/mL(基準30〜40)。腎生検のPAS染色標本を別に示す。
最も考えられるのはどれか。

a 糖尿病腎症
b 悪性腎硬化症
c 顕微鏡的多発血管炎
d 感染後急性糸球体腎炎
e コレステロール塞栓症

54 67歳の男性。左眼痛と視力低下を主訴に来院した。7日前に植木のせん定をしていた時に、木の枝が左眼に当たったという。翌日から左眼痛と視力低下を自覚し、次第に症状が悪化した。左眼の前眼部写真を別に示す。左眼の視力は眼前手動弁。眼圧は右16mmHg、左18mmHg。
最初に病変を生じた部位はどれか。

a 結膜
b 角膜
c 前房
d 虹彩
e 水晶体

55 日齢0の新生児。妊娠31週から胎児発育不全を指摘されていた。在胎38週に体重1,890gで出生した。低出生体重児のためNICUに入院した。啼泣は弱かったが多呼吸のため保育器内に収容して酸素を投与した。眼裂狭小、小さな口、小下顎などの特徴的顔貌を認めた。また、手指の重合と屈曲拘縮、ゆり椅子状の足底を認めた。全身の筋緊張は亢進していた。
この患児にあてはまるのはどれか。
a 生命予後は良い。
b 発達遅滞をきたす。
c 心疾患は合併しにくい。
d 急性白血病を合併しやすい。
e 甲高い泣き声が特徴的である。

56 42歳の男性。喘鳴を主訴に来院した。幼児期に気管支喘息を発症したが、12歳以降は喘息発作もなく過ごしていた。半年前から再び発作が生じるようになったため受診した。アレルギー性鼻炎の既往はない。吸入副腎皮質ステロイド薬、吸入長時間作用性β2刺激薬、吸入長時間作用性抗コリン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放薬で治療したところ最近症状が落ち着き、減薬を考慮している。血液所見:赤血球430万、Hb 14.5g/dL、白血球7,800(分葉核好中球63%、好酸球10%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球21%)、血小板25万。特異的IgE抗体は全て陰性。
治療方針として、中止すべきでないのはどれか。
a テオフィリン徐放薬
b 吸入副腎皮質ステロイド薬
c 吸入長時間作用性β2刺激薬
d 吸入長時間作用性抗コリン薬
e ロイコトリエン受容体拮抗薬

57 65歳の女性。発熱と悪寒を主訴に来院した。意識レベルはJCS II-10。身長155cm、体重68kg。体温38.8℃。脈拍96/分、整。血圧92/52mmHg。呼吸数28/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右背部叩打痛を認める。尿所見:蛋白1+、糖(−)、ケトン体(−)、潜血1+、沈査は赤血球10〜50/HPF、白血球50〜99/HPF。血液所見:赤血球434万、Hb 11.8g/dL、Ht 37%、白血球2,200、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL、アルブミン2.8g/dL、AST 19U/L、ALT 19U/L、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。CRP 21mg/dL。血液培養と尿培養の検体を採取し、生理食塩液による輸液を行ったが、血圧低下の改善はみられず、カテコラミンと抗菌薬の投与を開始した。腹部CT(A、B)を別に示す。
直ちに行うべき処置はどれか。

a 尿道切開術
b 膀胱瘻造設
c 経尿道的尿管砕石術
d 尿管ステント留置術
e 体外衝撃波結石破砕術

58 日齢0の新生児。Basedow病に罹患している母親から出生した。母親は抗甲状腺薬を服用しており、抗甲状腺抗体は陽性である。
新生児期に最も留意すべきなのはどれか。
a 血圧
b 尿量
c 呼吸数
d 心拍数
e 動脈血酸素飽和度

59 65歳の女性。胸痛を主訴に来院した。1か月前から右胸痛を自覚していたが改善しないため受診した。13年前に右乳癌で手術の既往がある。30年前から建設業に従事していた。呼吸音は右下胸部で減弱、胸部の打診で右背側に濁音を認めた。胸部エックス線写真(A)、胸部造影CT(B)及びFDG-PET/CT(C)を別に示す。胸腔鏡下生検を施行した結果、カルレチニン免疫組織染色が陽性である悪性細胞を認めた。
この患者で高値を示すのはどれか。

a 胸水ヒアルロン酸
b 胸水トリグリセリド
c 血清α-フェトプロテイン〈AFP〉
d 胸水アデノシンデアミナーゼ〈ADA〉
e 血清アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉

60 20歳の男性。異常な言動を心配した両親に伴われて受診した。2年前に大学へ入学してからアパートで1人暮らしをしていた。1か月前に体調が優れないと言って実家に帰り、その後はほとんど自室に閉じこもって過ごしていた。1週前から「テレビで自分のことが毎日流れている」、「テレビの出演者が自分にだけわかるサインを送ってくる」、「周りの人が自分の悪口を言っている」と訴え、夜間に隣の家に向かって大声を出すなどの行動がみられるようになったという。このため両親に伴われ精神科を受診した。診察中は表情が乏しく、視線を合わせようとしない。問診に対しては小声で短く答える。大学入学以前は、発達上の問題や適応上の問題はなかった。血液検査、頭部MRI及び脳波検査に異常は認めない。
治療薬として適切なのはどれか。
a イミプラミン
b 炭酸リチウム
c フェニトイン
d リスペリドン
e カルバマゼピン

61 60歳の男性。右耳下部腫瘤を主訴に来院した。1か月前、洗顔時に気付いたが痛みはなくそのままにしていたという。右耳下腺後下部に軟らかい腫瘤を触れる。穿刺吸引細胞診で嚢胞性背景に胞体が好酸性の上皮細胞集塊を認める。頸部MRIを別に示す。99mTcO4-唾液腺シンチグラフィで病変部に集積を認める。
診断はどれか。

a 耳下腺癌
b 頸部血管腫
c Warthin腫瘍
d IgG4関連疾患
e 耳下腺多形腺腫

62 78歳の女性。顔面の皮疹を主訴に来院した。4年前から右内眼角部に皮疹が出現し、徐々に増大したため受診した。受診時に右内眼角部に鱗屑を伴う不整形の紅斑を認める。紅斑の中央部から皮膚生検を行った。顔面の写真(A)及び生検病理組織像(B)を別に示す。
異型角化細胞の増殖がみられるのはどれか。

a 角質層
b 透明層
c 顆粒層
d 有棘層
e 基底層

63 A 65-year-old woman was diagnosed with stage IB right lung cancer. She underwent right lower lobectomy with lymph node dissection for the cancer. She developed a milky white pleural effusion of 860mL, which was drained after starting meals on the first postoperative day.
Which pleural effusion test should be performed for a definitive diagnosis?
a Protein
b Bacteria
c Triglyceride
d Malignant cells
e White blood cells

64 57歳の女性。不正性器出血を主訴に来院した。54歳で閉経した。6か月前から性器出血が出現し、1か月前から持続するようになった。自宅近くの診療所で子宮内膜生検により子宮体癌〈子宮内膜癌〉と診断された。身長155cm、体重80kg。血液検査では軽度の貧血以外の異常を認めない。画像検査では子宮外への進展や転移を認めない。骨盤単純MRIのT2強調矢状断像を別に示す。
この患者に行う治療として適切なのはどれか。

a 外科的切除
b 放射線照射
c 殺細胞性薬投与
d 分子標的薬投与
e ホルモン薬投与

65 60歳の女性。右乳房のしこりを主訴に来院した。胸部の触診で右乳房に径3cmの腫瘤を触知する。両側のマンモグラムを別に示す。
まず行う検査として適切なのはどれか。

a PET/CT
b 造影CT
c 造影MRI
d 乳管造影検査
e 超音波ガイド下針生検

66 73歳の女性。腰痛を主訴に来院した。1年前から腰痛があり、3か月前から次第に増強したため受診した。顔面は蒼白で眼瞼結膜は貧血様であり、眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。表在リンパ節は触知しない。尿所見:蛋白1+。血液所見:赤血球300万、Hb 8.1g/dL、白血球4,400、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白10.1g/dL、アルブミン2.9g/dL、IgG 5,475mg/dL(基準960〜1,960)、IgA 36mg/dL(基準110〜410)、IgM 22mg/dL(基準65〜350)。総ビリルビン1.4mg/dL、AST 52U/L、ALT 45U/L、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン1.5mg/dL、血糖124mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 108mEq/L、Ca 8.8mg/dL。
診断確定のために必要な検査はどれか。2つ選べ。
a 骨髄穿刺
b Ham試験
c 腹部造影CT
d 蛋白漏出試験
e 血清蛋白免疫電気泳動

67 79歳の男性。発熱、咳嗽および呼吸困難を主訴に来院した。3日前からの食思不振、発熱、咳嗽および喀痰が出現したため受診した。昨夜は呼吸困難も加わり眠ることができなかったという。意識は清明。体温38.5℃。脈拍108/分、整。血圧96/54mmHg。呼吸数32/分。SpO2 91%(room air)。左下側胸部にcoarse cracklesを聴取し、胸部エックス線写真で左下肺野に浸潤影を認める。酸素投与と生理食塩液の静脈内投与を開始した。
治療方針の決定のためまず行う検査はどれか。2つ選べ。
a 血液培養
b 喀痰Gram染色
c 喀痰Grocott染色
d 血中アスペルギルス抗原
e 血中サイトメガロウイルス抗原

68 日齢3の男児。在胎38週2日、2,648gで分娩遷延のため吸引分娩で出生した。Apgarスコアは9点(1分)であった。出生直後に頭部の腫瘤を認めていた。活気不良と頭部の腫瘤増大、全身蒼白のためNICUに搬入された。意識は清明。身長48.5cm、体重2,648g。体温36.2℃。心拍数148/分、整。血圧48/20mmHg。呼吸数58/分。SpO2 96%(room air)。両側の頭頂側頭部に径4cmの柔らかい腫瘤を触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球180万、Hb 6.8g/dL、Ht 18%、白血球28,000、血小板20万、出血時間正常、PT-INR 1.1(基準0.9〜1.1)、APTT 122秒(基準27〜40)、フィブリノゲン262mg/dL(基準130〜380)。頭部CT冠状断像を別に示す。
この患者で活性が低下する可能性があるのはどれか。2つ選べ。

a 第VII因子
b 第VIII因子
c 第IX因子
d 第X因子
e 第XIII因子

69 65歳の女性。昨日、腰椎固定術を腹臥位で施行された。朝食のため看護師がベッドを座位にしたところ、突然患者が呼吸困難と胸痛を訴え意識レベルが低下した。気管挿管されICUに入室し人工呼吸を開始した。身長152cm、体重70kg。心拍数130/分、整。血圧80/40mmHg。血液所見:赤血球352万、Hb 10.4g/dL、Ht 32%、白血球10,400、血小板16万、PT-INR 1.1(基準0.9〜1.1)、APTT 31.5秒(基準対照32.2)、Dダイマー30.6μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:総蛋白5.0g/dL、アルブミン2.8g/dL、AST 80U/L、ALT 56U/L、LD 276U/L(基準120〜245)、γ-GT 85U/L(基準8〜50)、CK 30U/L(基準30-140)、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL。CRP 0.8mg/dL。心筋トロポニンT陰性。心電図で洞性頻脈を認める。動脈血ガス分析(人工呼吸、FIO2 0.8):pH 7.39、PaCO2 39Torr、PaO2 95Torr、HCO3- 24mEq/L。胸部エックス線写真で肺野に明らかな異常陰影を認めない。
確定診断のために必要な検査はどれか。2つ選べ。
a 頭部MRI
b 冠動脈造影
c 胸部造影CT
d 心エコー検査
e FDG-PET/CT

70 7歳の男児。体幹の皮疹を主訴に祖母に連れられて来院した。昨日、体幹に数個の皮疹が出現し、皮疹が増加したため受診した。体温36.5℃。脈拍80/分、整。呼吸数20/分。体幹に水疱を主体とした皮疹を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。咽頭に発赤を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。体幹の写真を別に示す。
医療面接上、重要な項目はどれか。2つ選べ。

a 出生時の状況
b 成長・発達の状況
c 排尿・排便の状況
d 予防接種の接種状況
e 周囲の感染症の流行状況

71 80歳の女性。今朝、自室で倒れているのを家人に発見され、救急車で搬入された。1週前から38℃の発熱、鼻汁および咽頭痛を訴えていたが、食事も摂れていたので医療機関は受診せずに様子をみていた。昨日の夕食も通常通りに摂取して就寝したが、朝食時に起きてこないので家人が様子を見に行ったところ自室で倒れていたという。30年前から2型糖尿病に対して経口糖尿病薬を内服している。意識レベルはJCS III-100。身長152cm、体重42kg。体温37.8℃。心拍数104/分、整。血圧88/46mmHg。呼吸数18/分。左上下肢の不全麻痺と右下肢のけいれんを認める。皮膚、口腔粘膜は著明な乾燥を認める。尿所見:蛋白(±)、糖4+、ケトン体(−)。血液生化学所見:尿素窒素60mg/dL、クレアチニン2.4mg/dL、血糖1,160mg/dL、HbA1c 6.6%(基準4.6〜6.2)、Na 156mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 116mEq/L。
直ちに静注すべきなのはどれか。2つ選べ。
a インスリン
b 血栓溶解薬
c 生理食塩液
d 抗けいれん薬
e 7%重炭酸ナトリウム

72 28歳の女性。発熱と左前胸部痛を主訴に来院した。5日前から咽頭痛と37.5℃前後の発熱があったが、市販の感冒薬で様子をみていた。昨日から左前胸部の持続性の痛みが生じ、その痛みは深呼吸で増悪するという。既往歴、家族歴に特記すべきことはない。体温37.5℃。脈拍100/分、整。血圧112/60mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97%(room air)。心音では心膜摩擦音を聴取する。打診で左下胸部に濁音を認め、同部位で肺胞呼吸音の減弱を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
現時点で行うべきなのはどれか。3つ選べ。
a 心電図
b 呼吸機能検査
c 心エコー検査
d 胸部エックス線撮影
e トレッドミル運動負荷心電図

73 83歳の男性。作業中に3mの高さから転落し、背部痛と呼吸困難のため救急車で搬入された。胸腔ドレナージ後の胸部造影CT(A〜C)を別に示す。
画像所見として認められるのはどれか。3つ選べ。

a 気胸
b 肺挫傷
c 気管断裂
d 縦隔気腫
e 肋骨骨折

74 5歳の男児。発熱と血便を主訴に祖父に連れられて来院した。2日前から発熱と頻回の下痢が出現し、本日、便に血が混じっていたため受診した。3日前に家族とのバーベキューで、牛肉、豚肉、鶏肉を食べたという。意識は清明。身長110cm、体重18kg。体温39.2℃。脈拍132/分、整。血圧100/66mmHg。呼吸数24/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腹部全体に軽度の自発痛と圧痛とを認める。
想定される原因微生物はどれか。3つ選べ。
a Escherichia coli
b Helicobacter pylori
c Campylobacter jejuni
d Pseudomonas aeruginosa
e Salmonella spp.(サルモネラ属菌)
解答: a,c,e

75 酸素投与(FIO20.28)下での動脈血ガス分析結果を示す。pH 7.38、PaCO236Torr、PaO258Torr、HCO3-21.2mEq/L。
肺胞気-動脈血酸素分圧較差〈A-aDO2〉を求めよ。なお、大気圧760Torr、37℃での飽和水蒸気圧47Torr、呼吸商0.8とする。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数第1位を四捨五入すること。
解答:①②Torr

Mac

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